配偶者や自身の親、または子どもが亡くなった際に分骨をして一部をご自身に身につけたいと考える人もいるかもしれません。また様々な事情で一度納骨した遺骨を分骨したいと考える人もいるでしょう。

どのように分骨後のご遺骨を供養したら良いのかわからない方のために、本記事では分骨の意味や、分骨の縁起の良さ、した遺骨の5つの供養方法を紹介します。

分骨とは遺骨をいくつかに分けて納骨・手元供養すること

分骨とは遺骨をいくつかに分けて納骨・手元供養すること

分骨とは故人の遺骨を複数に分けて納骨・埋葬したり、手元供養したりすることです。分骨は、火葬後すぐの収骨のタイミングと、その後お墓に一度納骨してしまってからも行うことが出来ます。

ただし、合祀墓へ埋葬したご遺骨の場合は、分骨することはできません。

分骨をするメリットは?

様々な理由で分骨を考える方がいると思います。どのような方にメリットがあるのか見ていきましょう。

お墓が遠方にある人がお墓参りがしやすくなる

本家や実家のお墓が遠方にある、というような理由で今住んでいる場所からはなかなかお墓参りに行けない場所に納骨された場合、分骨し近くにお墓を建てたり手元供養をしたりすることで、遺族の負担が軽減されます。お参りしやすいお墓や遺骨が物理的に傍にあることで、精神的な安定を得られる方もいるでしょう。

手元供養が出来る

小さな骨壺などに分骨をすれば手元供養が可能です。お子様を無くされた方、配偶者を無くされた方など、納骨時にも気持ちの整理がつかないという場合には傍に置いて日常的に供養することが出来ます。

またお墓を作らずに親族間で故人の遺骨を分骨し、それぞれで供養する場合もあるでしょう。

故人の意向などで散骨・樹木葬などにしてしまう場合も、少しは手元に置いておきたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

分骨は縁起が良いこと

分骨は魂が引き裂かれるので縁起が悪い、という話を聞いたことがある人がいるかもしれませんが、それは迷信であり誤解です。

分骨は古くから行われていた事でもあります。特に西日本では分骨する文化が残っており、特に浄土真宗では自分の信仰する宗派の本山へ納骨するということは今でも行われています。

そもそも、仏教の開祖であるお釈迦様の遺骨は8つに分けられたとされています。沢山の人々に供養してもらえる良い事とされていますので、宗教上は何の問題もありません。

分骨後の供養方法

分骨をするためには分骨証明書が必要になります。初めから分骨をしようと決めている方は火葬場にて分骨証明書を発行してもらえます。複数の箇所に遺骨を分ける場合は、その箇所ごとに分骨証明書が必要になります。

既に納骨してしまった遺骨も分骨は可能ですが、納骨している霊園やお寺から発行してもらう必要があります。ただし、一度合祀墓に埋葬してしまった遺骨は後から取り出すことは出来ません。

別々のお墓へ納骨する

夫婦で違う宗派を信仰していたという事情や、本家のお墓が遠いなどの理由で新たにお墓を建てて、お参りしやすい土地に遺族が納得できる形式で埋葬する(埋葬しなおす)というケースが考えられます。

お墓や供養の仕方に関しては、地域によっても違いますしそれぞれの考え方があり、親戚の顔を立てなければならない場面もあるでしょう。

分骨自体は悪い事ではありませんが、祭祀者(お墓の管理者)や関係する親族などに許可を得てから行うようにしましょう。

本山納骨

各宗派の総本山へ遺骨を埋葬することです。総本山とは各宗派の開祖が埋葬されている寺院などで、宗派全体をまとめている寺院のことを指します。

関西地方では信仰深い方では遺骨の一部を本山納骨することは珍しい事ではありません。本山納骨した遺骨は合祀墓に埋葬され、永代供養されるのが一般的です。残りの遺骨は、自分達の先祖代々のお墓に埋葬したり、手元供養したり、散骨したりと様々です。

手元供養

手元供養とは分骨した一部を自宅などの身近に置いて供養することです。手のひらサイズの骨壺に入れたり、身につけるタイプのキーホルダーやペンダントにすることも可能です。

近年ではお仏壇を持たずに、遺影写真や遺骨を供養の対象として手を合わせる方も多くなってきています。

散骨・樹木葬

故人の意向で海洋散骨や樹木葬を行うことも近年は増えています。しかし、全て散骨してしまうのは寂しいからと遺族が遺骨の一部を手元供養することもあります。

永代供養

手元供養用に遺骨を残し、それ以外は永代供養をしてもらうというケースもあります。永代供養とは、寺院や霊園などが親族に代わってご遺骨やお墓の維持・管理をしてくれる仕組みのことです。

お墓を持っていない方、後継者がいない方などが配偶者を亡くした場合などは、自分が亡くなった際に配偶者の手元供養用の遺骨と自分の遺骨をまとめて永代供養にする、ということなども出来ます。

分骨した遺骨も永代供養可能!

分骨した遺骨も永代供養可能!

先ほど分骨後の供養方法に永代供養を紹介しましたが、近年では一部を手元供養に、一部を永代供養にするという方が増えています。また都内を中心に納骨堂も増えているので、供養方法の選択肢は様々あります。

ただ永代供養を利用する際には注意点があります。永代供養墓には合祀墓、集合墓、個別墓の主に3つの形式がありますが、合祀墓の場合には一度埋葬すると、ご遺骨が他の故人のご遺骨と混ざるため分骨することができません。そのため、埋葬形式は事前に把握しておき、分骨をするタイミングに気を付けるようにしましょう。

分骨は縁起の良いことです。ご自身やご家族の考えに合わせて、正しいタイミングと方法で行うことをおすすめします。