ここ最近注目されている「ロッカー式納骨堂」をご存知でしょうか?さまざまな事情でお墓を所有し続けることが難しい方に合った、新しい納骨方法です。

この記事では、「ロッカー式納骨堂とは何か」ということから、参拝方法・費用の相場・メリットとデメリットまでを紹介します。

ロッカー式納骨堂とは?

ロッカー式納骨堂とは、コインロッカーに似た形状の納骨堂です。

その多くは都市部にあり、ビルなどの建築物の屋内に整然と配置されています。また、寺院や霊園の敷地内に新しい建物が建てられ、そこにロッカー式納骨堂が配置されている場合もあります。

ロッカーは1つ1つのスペースがコンパクトになっており、扉を開けて中に納骨する仕組みです。

ロッカー式納骨堂の多くは、元々は遺骨を一時預かりするための場所でした。それが、価値観の多様化や後継者がいないといった時代の変化によるニーズに合わせて、永代供養とセットになった納骨堂へと変化してきたのです。

ロッカー式納骨堂での参拝方法

ロッカー式納骨堂で参拝する際には、通常のお墓とは異なるルールがあることに注意しましょう。

まず、ほとんどのロッカー式納骨堂は屋内にあるため、火気厳禁となっていることが多く、ろうそくやお線香を焚くことはできません。施設によっては、ロッカー前ではなく共用の礼拝堂のみお線香を焚くことができる場合があります。

参拝は、故人の遺骨を納めたロッカーではなく、共用の礼拝堂において行うことが多くなっています。もちろん、ロッカーの前まで来て手を合わせることも可能です。ただし、多くの施設ではロッカーに供花やお供え物をそのまま置いて帰ることができません。

ロッカー式納骨堂は狭いスペースにたくさんの遺骨が納められているため、周囲の方々に気を遣う必要があります。ときには隣の方と参拝時間が重なってしまうことがあり、参拝しにくさを感じるかもしれませんが、お互いに譲り合う気持ちが必要です。長時間占拠したり、大きな声でお経を唱えたりすることは控えましょう。ロッカー式納骨堂は宗旨宗派の異なる方も多いため、気遣いながら参拝することがポイントです。

その他にも、施設ごとに決められたルールがあるので、参拝するときは事前に確認するとよいでしょう。

ロッカー式納骨堂のメリット

通常のお墓より低価格

ロッカー式納骨堂は、通常のお墓と比較するとかなり低価格です。通常のお墓は安くても100万円前後で、平均価格は150万円を超えます。

一方、ロッカー式納骨堂は20万円程度から購入することが可能です。

後継者がいなくても心配ない

ロッカー式納骨堂は、基本的に永代供養がセットになっているので、後継者が管理する必要はありません。多様な価値観が認められるようになった現代に合う方法といえるでしょう。

宗旨宗派不問の施設が多い

ロッカー式納骨堂は、宗旨宗派を問わないことが多い傾向にあります。生まれ育った土地を離れて暮らしているなどの理由で、身近に同じ宗派の寺院がない方や、無宗教の方も受け入れてもらえます。

悪天候でも参拝できる

ロッカー式納骨堂は屋内に設置されていることがほとんどなので、天候を気にする必要なく参拝できます。

掃除などの管理が不要

ロッカー式納骨堂は施設が日頃から管理してくれているので、通常のお墓のように掃除などをする必要がありません。

生前に用意することも可能

施設によっては、生前にロッカー式納骨堂を購入することも可能な場合があります。後継者がいない場合や、後継者に手間をかけたくない場合に便利です。

アクセスの良い場所が多い

ロッカー式納骨堂は都市型の施設として広まった経緯があり、その多くがアクセスの良い場所に立地しています。

ロッカー式納骨堂のデメリット

将来的に合祀となる可能性が高い

ロッカー式納骨堂は永代供養がセットになっていることが多いのですが、年数はさまざまで、期間満了した後には合祀となる可能性が高いでしょう。

納骨可能な遺骨の数に限度がある

ロッカー式納骨堂は、1つの区画に納められる遺骨の数に限度があります。一般的には1〜4名で、多くても8名までがほとんどです。

一時預かりの印象が根強く残っている

ロッカー式納骨堂の認知度がまだ高くはないため、一時預かりの印象を抱いている方も多いでしょう。ですが実際は、一時的ではなく永代供養として半永久的に納骨し合祀されるパターンが多いです。

家族との間で意見の相違が起きないように、十分に話し合っておく必要があります。

参拝方法やお供えに注意が必要

ロッカー式納骨堂は屋内にあるため、火気は厳禁で、お線香やろうそくなどは使用できません。供花やお供え物も、持ち帰らなければならないことがほとんどです。

また、狭い区画にさまざまな宗旨宗派の方々が祀られているため、他の方に配慮しながら参拝する必要があります。

ロッカー式納骨堂の費用相場

ロッカー式の納骨堂の購入費用は、安価なもので20万円から、高価なものは100万円以上かかります。比較的よく購入されるのは、80万円程度までのものです。

ロッカー式の納骨堂の価格は、納骨堂のデザインや付与される設備によって違ってきます。デザインの種類はとても多く、華やかな装飾が施されていたり、高級な素材が使用されていたりと、さまざまです。

付与される設備には、供花台や写真・位牌を配置するスペースなどがあり、設備が増えると価格も上がります。

さらに、同じ施設の納骨堂でも棚の位置で価格が異なることも。具体的には、目の高さにあるロッカーはお参りがしやすいため高価なのに対し、最上段や最下段などのお参りしづらい位置にあるロッカーは、やや安価になる傾向があります。

ロッカー式の納骨堂の購入費用は、おもに以下のような内訳になっていることが一般的です。

・使用料
・永代供養料
・維持管理費
・お布施(戒名代)
・銘鈑や墓誌への彫刻料

以下で、それぞれを順に解説します。

使用料

納骨堂を使用させてもらうための料金です。価格は、遺骨を安置する期間・納骨する人数・ロッカーの位置などで変わります。

相場は10万円から200万円程度までと幅広くなっています。

永代供養料

故人の供養を、後継者に代わって寺院や霊園に依頼するための料金です。

相場は20万円から100万円程度までで、供養の内容によって変わります。

維持管理費

納骨堂の維持管理を依頼するための料金で、相場は年間1万円から2万円です。

永代供養料に含まれている場合もあるので、契約時に確認しましょう。

お布施(戒名代)

故人に対し僧侶から「戒名」を授けてもらう際のお布施です。

金額は戒名のランクによって異なり、また宗派によっても若干差があります。

金額の相場は、おおむね以下のようになっています。

ランク価格
信士・信女10万~50万円
居士・大姉50万円~80万円
院号・法印号100万円~

銘鈑や墓誌への彫刻料

ロッカー式納骨堂の扉には銘鈑墓誌があり、ここに戒名・家名・没年月日などを彫刻してもらう際に料金がかかります。

価格の相場は3万~5万円程度ですが、永代供養料に含まれることもあるので、契約時に確認しましょう。